食道癌に対するロボット支援手術

2018年からロボット支援手術が保険適応となりました。それに関して先日の外科学会で食道癌に対する胸腔鏡手術、ロボット支援手術の比較検討が発表されたようです。


2018年の診療報酬改定で食道悪性腫瘍に対するロボット支援下手術が保険適用となった。胸腔鏡下手術に比べて、どのような利点があるのか。第119回日本外科学会定期学術集会(4月18~20日、開催地:大阪市)に登壇した佐賀大学一般・消化器外科の與田幸恵氏は、佐賀大学で実施した胸部食道癌のロボット支援下手術の成績を発表した。近年食道癌のロボット支援下手術は開胸手術に比べて呼吸器合併症が少ないと注目されている。このほか、肋間での創痛軽減や出血量の減少、反回神経麻痺の軽減などが期待されている。しかしロボット支援下手術の有用性は十分には証明されていない。今回與田氏は、より低侵襲術式である胸腔鏡下手術とロボット支援下手術を比較し、その有用性を検証した。

具体的には、56~72歳のステージ0~Iの患者15人、II~IVaの患者15人を対象に2011年9月~2018年12月に実施した30例のロボット支援下食道切除術と59~76歳のステージ0~Iの患者51人、II~IVaの患者101人を対象に2009年5月~2018年12月に実施した152例の胸腔鏡下食道切除術を比較し、ロボット支援下手術の有用性を検証した。

佐賀大学では、2011年9月に胸部食道癌に対するロボット支援下手術を導入した。当初は自由診療として実施していたが、2018年4月以降は保険診療として行っている。2018年には、年間の胸部食道癌手術の半数に当たる14例をロボット支援下手術で行った。

胸腔鏡下手術とロボット支援下手術のどちらを選択するかについては、基本的には切除可能と判断できるものはロボット支援下手術を第一選択とするが、癌の大きさや進行度合いなどに応じて複合的に判断している。ただし、同グループでは咽・喉頭食道摘出(咽喉食摘)や反回神経切離を伴うような症例や壁深達度がT4以上の場合はロボット支援下では手術していない。

手技の観点では、ロボット支援下手術は「手ぶれしないことが利点」と與田氏は述べる。また胸腔鏡下手術の場合は肋間で可動性が制限されて操作しにくいが、ロボットを使うと先端の自由度が高く器具同士が干渉することがないので非常に安定した操作ができるという。

ただし、食道領域については、日本食道学会が認定する食道外科専門医の指導のもとに手術を行うことが術者条件、食道外科専門医が1人以上常勤で配置されることが施設条件となっている。これは「胃や直腸など他の消化器に比べると、ややハードルが高い基準」と與田氏は言う。

具体的な比較結果を見ていこう。手術時間に関しては、ロボット支援下手術が平均12時間10分(そのうち胸部操作は平均6時間38分)、胸腔鏡下手術が平均9時間43分(そのうち胸部操作は平均4時間21分)と、ロボット支援下手術の方が長い傾向にあった。ただし、ロボット支援下手術の手術時間は徐々に短くなっており、「最近では壁深達度がT3以下であれば、胸部操作を3時間20分程度で終えられるようになってきた」と與田氏は説明する。

術後在院日数については、ロボット支援下手術が平均17.6日、胸腔鏡下手術が32.7日と、有意差をもって短いことが分かった。

また、術後合併症については、グレードIII以上の合併症はロボット支援下手術で13.3%、胸腔鏡下手術で39%と、ロボット支援下手術の方が少ない傾向にあった。反回神経麻痺(気管支鏡もしくは喉頭鏡での評価)についても、ロボット支援下手術は36.6%、胸腔鏡下手術は51.2%と、ロボット支援下手術の方が少ないことが分かった。

こうした結果を受けて、胸部食道癌に対するロボット支援下手術は「術後在院日数の短縮や合併症の軽減が期待でき、今後ますますニーズが高まっていくだろう」と與田氏は話した。



私が食道癌手術に関わっていたころは、胸とお腹を大きく開け、本当に侵襲の大きい手術で、合併症もほぼ必発というものでした。

ロボット支援手術で術後在院日数が驚異的に短いということは、それだけ術後合併症が少ないということでしょう。今後のロボット支援手術にますますの期待がかかります。

しかし平均手術時間が12時間とは(;´Д`)

日本の外科医療は奉仕の精神で成り立っているのがよく分かります。

ロボット支援でなく、AIが全てやってくれるような時代に早くなればいいですね。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です