血液感染原因菌の同定が容易になる可能性

外科であれ内科であれ臨床の現場で本当に厄介なのは感染症のコントロールです。肺炎、腹膜炎、尿路感染、菌血症などの感染症に臓器障害が伴うと敗血症性ショックになることもあります。そのような現場では”原因菌は何か?”ということが常に問題となります。患者さんから採取した痰、尿、便、血液、膿などを培養検査に提出するのですが結果が分かるまで3〜5日はかかります。結果が分かるまで時間がかかるので患者さんに感染症が発生すると経験に基づいて抗生剤を開始し、培養結果が到着次第、継続もしくは変更を検討することになります。培養結果が分かるまで本当にこの抗生剤は効いているのか、いつも不安でした。もっと早く原因菌は同定できないものか?という思いはどの臨床医も持っていると思います。

そんな中で血液感染症の種類と治療に必要な抗菌薬を20分で特定できる方法が米国で開発された、と医療サイトのニュースに掲載されていました。

米・Purdue UniversityのWeili Hong氏らは、血液培養ではなく患者の血液サンプルを用い、ハイパースペクトル誘導ラマン散乱(SRS)イメージングで生菌の糖代謝活性をモニターする迅速診断法を開発したとAnal Chem(2018; 90: 3737-3743)で報告した。

Hong氏らはハイパースペクトルSRSイメージングを用い、バンコマイシン耐性および感受性の腸球菌であるEnterococcus faecalisの糖取り込みを定量的にモニターした。

その結果、「抗菌薬の投与後わずか30分以内で、感受性菌は耐性菌とは異なる糖代謝活性を示した。したがって、抗菌薬に対する感受性および最小発育阻止濃度(MIC)を1サイクルの細胞周期で決定することができる」と述べている。

また、この迅速診断法は大腸菌(Escherichia. coli)、肺炎桿菌(Klebsiella. Pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus. aureus)を含む他の菌種にも応用が可能で、殺菌・阻害メカニズムを問わず各種の抗菌薬に対応できるとしている。

共著者で同大学のMohamed N. Seleem氏は「指紋が人によって異なるように、感染症の起因菌も固有の”指紋”を有する。われわれが作成した感染症ごとの”指紋”のライブラリーを用いれば、起因菌の種類を迅速に特定することができる」と説明。「血液感染症は死亡率が非常に高く、患者が数時間で死亡することもある。迅速かつ有効な診断法の需要は高い」と付言している。

非常に素晴らしいです。論文のAbstractしか読めないのでなんとも言えないのですが血液のサンプル量も現行の血培ほどは必要ないのではないでしょうか?消毒して血液10ml 2セットを採取するのは医療側、患者さんにとってもかなりの負担です。

血液以外のサンプル、痰、尿、便などにも応用できれば感染症治療の成績は大きく飛躍すると思われます。

ブログランキングの応援クリックをお願いします。 更新の励みになります! <(_ _)>
病院・診療所ランキング にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
にほんブログ村

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です